発達科学コミュニケーショントレーナー・石澤かずこさんへのインタビュー後編です。

(インタビュー前編はこちら)

全体よりも、1人の困っている子に寄り添える人間でありたい|発達科学コミュニケーショントレーナー・石澤かずこ(前編)

今回は、臨床心理士としてスクールカウンセリングを行っていた石澤さんと「発達科学ラボ」との出会い、そしてトレーナーとして起業するようになったきっかけについて伺いました。

今までの働き方を大きく変えることになった石澤さんの転機と、そこから一気に起業に向かって進んでいった原動力のお話の中には、自分をひらいて人生の新たな一歩を踏み出すためのヒントがたくさんつまっていました。


スクールカウンセラーとして感じたカウンセリングの限界と、発達科学コミュニケーションの可能性

石澤さんの学生時代の研究の軌跡

石澤さんの学生時代の研究の軌跡

——石澤さんが結婚、出産するまでは教育委員会や療育施設で心理士としての様々なお仕事をされてきたとのことですが、出産後はスクールカウンセラーとしてお仕事をされていたんですね?

石澤: そうです、2人の娘を出産後はしばらく専業主婦をしていたんですが、ご縁があってスクールカウンセラーとして幼稚園や小学校で週に数回働くようになりました。

幼稚園のカウンセラーって全国的にも珍しくて、お母さんたちの子育て相談みたいな感じで気軽に相談しにきてもらっていました。

お母さんたちはみんな一生懸命なので、私の顔を見るだけでわーっと泣いてしまう方もいらっしゃって。30分前後の短い時間ですが、お話を聴いていくなかで、気持ちを整理してスッキリとした顔で帰られる姿を見て、この仕事ってやっぱりいいなぁと思ったんですよね。

でもカウンセリングには限界があって、教育委員会が定めた日数の中で働かないといけないので、1つの園につき月1回、4時間しかいられないなどの時間の制限があって。

その中で例えば4人のカウンセリングをしようとして、先生たちにも園での子どもとの接し方や支援についてアドバイスするので、1人のお母さんにつき30分くらいしか時間を当てられないんですね。

結局30分で何ができるかというと、お母さんの話を聴くということしか出来なくて。

——なるほど。そうすると、お母さんがたまったものを吐き出すだけで終わってしまうのでは?

石澤: そうなんです。
「利害関係のない人で吐き出す場所がある。しかも幼稚園の中のわが子の様子を知っている人」という意味ではとても大切な役割を担っているなとは思っていたんですが。
その日にお母さんの気持ちを吐き出して帰ってもらって、結局その1ヶ月後にまた同じ話をして、それを1年間続けて卒園される、ということが多くて。

「本当はもっとやれることがあるんじゃないか?」っていつも思いながら過ごしていました。

そんな中で「発達科学ラボ」主宰の吉野さんと出会って、お母さん自身を強力にサポートしてあげれるような仕組みがあることを知り、それってすごくいいなと。

さらに「相談する人」「される人」という関係性だと、どうしても「頼る人」「頼られる人」という関係になってしまいがちなんですが、発達科学コミュニケーションの場合は、「私は発達の専門家ですが、あなたはお子さんの専門家です」というように、お母さんと一緒に作戦会議しながらスキルを身につけてもらうことができる。

そうすると、頼るのではなく自立したお母さんを育てていけるし、講座が終わった後でも自分でなんとかできるぞという自信をお母さんにプレゼントすることができるので。
それを考えると「私がやりたいのはこっちだ」と思って、今この活動をしています。

——受身的に相談をする人としてではなくて、お母さん自身がお子さんの専門家として育ち、自分の足で立つ。そうすることで、お母さん自身に子どもの発達支援をしてあげるためのスキルと自信をつけさせてあげることができる。
それが発達科学コミュニケーショントレーナーとしての仕事ということですね?

石澤: そうです。

自身の大きな体調不良をきっかけに、働き方を変えることを決意

天気の良い午後は子ども達と公園で遊ぶのが石澤さんの日課

天気の良い午後は子ども達と公園で遊ぶのが石澤さんの日課

——その他にも、発達科学コミュニケーショントレーナーとして起業しようと思ったきっかけはなにかありましたか?

石澤: 今年の頭に、私は大きく体調を崩してしまって、2週間ほど寝たきりになってしまったんです。
それでスクールカウンセラーの仕事も休まざるをえなくなってしまったんですが、家で寝ていて考えるのは、いつもカウンセリングに来てくれているお母さんたちのことで。

年末に会って、「じゃあまた年明けたら話しましょうね」って言って別れたお母さんたちや、小学校入学目前で、「入学に向けての作戦会議しましょうね!」って話したお母さん達の、次のカウンセリングに行けなくなってしまっていて。

急に相談役がいなくなるってことは、お母さんにとってもすごく不安だと思うし、自分の体調や家族のなにかで急にサポートができなくなってしまうような働き方は、自分自身にとっても辛いなと思ったんですね。

迷惑もすごくかけてしまったし、自分自身もどうしようもできなくて…

そんな時期に発達科学ラボと吉野さんに出会ったことで
「こうやって自宅で、いつでも繋がれる」っていう安心感を、お母さんにもトレーナーの私自身も感じられる働き方ができたら、もっとお母さんたちの力になれるんじゃないかなって思ったんです。

だから働き方を変えるっていう意味でも、今のこの発達科学コミュニケーショントレーナーを選んで起業することに決めました。

——今までのお話を聞いていると、石澤さんはご縁があって繋がった人に長く、より深くサポートをしていきたい、という思いがあるのでしょうか?

石澤: うん、そのとおりですね。
サポートするお母さんたちには、いつかは自立してほしいと思ってるんですが、お母さん自身がしっかり自信を持って「私大丈夫です!先生ありがとう、バイバイ!」って言ってくれるまではしっかり背中を押していきたいというのはあります。

——なるほど。それがスクールカウンセラーなどの働き方だと、関われる時間にも制限があるから、今の活動でそれを実現できると。

石澤: あとは行政の仕事だと幼稚園や保育園によって関わる課が違ったり、小学校から6年間支援を受けていたとしても、カウンセリングする先生やシステムが変わっていくので、一貫した支援を受けることができないという現状があるんですね。

さらに、中学、高校、大学と年齢が上がるにつれて支援もどんどん薄くなっていくわけなんですが、発達障害って治るものではないので、それぞれの年齢に合わせて課題や出てくることが当然で。

だから外に支援を頼っていると、その時その時でお母さんがドクターショッピングしないといけなくなる、ということが出てくるんですよね。

発達科学コミュニケーショントレーナーは、例えば私は幼児の専門ですけど、幼児以外はみませんってことはしないので、一生を通して子どもの発達を一緒に支えていくことができるし、私がいなくても、お母さん自身がお子さんの発達の専門家になれるようにサポートしていきます。

それでも不安になったら戻っておいでっていうような、いつでも相談できる人がいるっていう安心感をお母さんに与えられる仕組みがあるということに、わたし自身大きな可能性を感じています。

——なるほど、行政の発達支援では出来ないことが発達科学コミュニケーションならできるということなんですね。

石澤: そのとおりです!!

今までにない発達支援の仕組みを使って、発達障害&グレーゾーンの子どもとお母さんをサポートしたい

——これってお話を聴くほどに本当に画期的なシステムのように思えるのですが、今まで民間ではこういった取り組みはなかったのでしょうか?

石澤: 民間では、子どもに対して専門の先生が発達支援をする、ということは行われていましたけど、「お母さん自身が子どもの専門家」として家庭で発達支援をする、というのはとても画期的だと思います。

——お母さん自身が子どもの専門家になれば、自宅で毎日発達支援ができるし、ずっと療育機関に頼り続ける必要性もなくなる。そしてお母さん自身にとっても毎日の子育てがラクになると。

石澤: そのとおりです。
今、日本には、診断を受けている子どもも含めて、発達に凸凹のある子どもたちが何万人もいるんですね。
その半分以上の子どもたちがグレーゾーン、つまり、医療機関にいっても診断のもらえない子で、その子たちに関しては発達支援の手立てが何もないんです。

だからお母さん1人に丸投げされている状態で、「あなたの育て方が…」なんて言われて、泣きながら一生懸命に子育てしているという状況がある。

そこになんとかして手を差し伸べたい!というのが、発達科学コミュニケーショントレーナーの使命です。

——ではまずは発達科学コミュニケーショントレーナーの方が開催する講座を受けて、お母さん自身が子どもの専門家になってもらう。
そしてその先には自分の子どもだけでなく、支援を待っている日本中のお母さんと子どものためにトレーナーとして活動する人を増やしていきたい、というのがあるのですね?

石澤: そうですね。支援できる人数には限りがあるので、もっと一緒にこの活動に取り組める仲間を増やしたいですね。

——それだけ支援を必要としている人が多いということですもんね。
そしてお母さん自身もそうやって石澤さんのように自宅にいながら、他のお母さんに発達支援について教えるということを仕事にすることができる。

石澤: そうです。そういう働き方や社会への貢献方法があるんだよっていうのを、多くのお母さんに知ってほしいと思っています。

発達科学コミュニケーショントレーナーとしての起業までの振り返りと、叶えたい1年後の未来

2人のお子さんと過ごす時間を何よりも大切にしたいと話してくれた石澤さん

2人のお子さんと過ごす時間を何よりも大切にしたいと話してくれた石澤さん

——石澤さんが発達科学コミュニケーショントレーナーとして起業すると決めて実際に活動を始めるまでに、2ヶ月ほどしか経っていないのですよね。
振り返ってみて、スピーディに起業ができた理由はなんだと思いますか?

石澤: やはり何よりも一番は「発達科学ラボ主宰」の吉野さんというメンター(師)に出会ったことですね。
そして師と密にやりとりしながら、進捗状況を報告して、教えてもらったことを素直に実践していきました。

さらに私の起業のスタートには、「助けたい明確な相手がいる」ということがとても大きかったです。個別相談の公募を始める前に、直接「相談をしたい」と言ってくださっていた方がいて。

その方との個別相談の日程に合わせて、ブログなどの告知もすべて急ピッチで進めていきました。

「この人のためにやる!」と思える相手がいたことと、「いつまでにやる!」と期限を決めたら、そこまでに必要なことをすべて洗い出して、なんとしてもやり遂げる、というのがあったからこそ、短期間で起業をスタートさせることができたんだなぁと今は思っています。

——そうやって今現在「発達科学コミュニケーショントレーナー」として、お母さんたちのサポートを始めている石澤さんですが、今から1年後の展望などはありますか?

石澤: 私が1年後に叶えたいのは、一日4時間という短時間の枠の中でも、ちゃんと社会に貢献した仕事ができるし、子どもを保育園に預けて頑張ってパートで働くよりもたくさんの感謝料をいただけるような仕事ができるんだよ、というロールモデルになることです。

子どもが朝9時に幼稚園に行って14時に帰ってくる、そのうちの4時間でとても素晴らしい仕事はできるということを、まずは私自身が体現したいですね。

そうすることで「ほら、私でもできるんだから、あなたにもできるんだよ」ということをたくさんのお母さんたちに伝えられたらなぁと。

発達障害のお子さんを持つお母さんも、まずは自分の子どもの支援を出来るようになって、その後はトレーナーとして他のお母さんの役に立っていけるような、そんな流れを作っていくためのロールモデルになっていたいですね。

——「お母さんたちのロールモデルになりたい」、そう思うようになったのはなぜですか?

石澤: やっぱり自分自身が子どもともっと一緒にいたいからですね。
子どもが幼稚園から帰ってきた後に一緒に公園に行ったりとか、児童館に遊びに行ったりとかって今しか出来ないことなので。
我が子との時間を楽しみたいっていうのが一つ。

もう一つは、私の住んでいる地区は待機児童が特に多くて、保育園には入るのはとても難しいんですよね。

だからこそ、「保育園に入れないと仕事ができない」っていう方程式を崩したくって。

——働きたいし、収入も得たい。でも子どもとの時間も大切にしたいというお母さんに、今までの「当たり前」とは違う選択肢を示したい、ということでしょうか。

石澤: そうですね。
子どもがいても働きたいっていうお母さんは、幼稚園に子どもが入ったら、夕方までの預かり保育を利用してパートに出ていたりするんですよね。

だけど、外にパートに出なくても、預かり保育を使わなくても、あなたの持っている力と1日4時間という与えられた時間を使って、仕事をして収入を得ながら社会に貢献することができるっていう道を示すことができれば、嬉しい人はいっぱいいるんじゃないかなぁと思うんです。

だからこれから1年で、自分自身がその道を示せる人になりたいですね。

人生をかけてつくりたいのは、地域で「つながる・支える・育ちあう」社会

——ではさらにその先の将来は、どんなビジョンを実現していきたいと思われていますか?

石澤: わたしが最終的に目指しているのは、障害があってもなくても、貧しくても貧しくなくても、全ての子どもたちが自分らしい人生を生きていけるように、そこに住む人達みんなで支え合いながら子どもを育てあう地域をつくることです。

そしてそれが自分が住む地域だけでなく全国の色んな地域に広がっていって、日本中の子どもたちが自分の叶えたい未来をちゃんと叶えていけるような社会を作っていきたいと思っています。

そのために一番最初にサポートしたいのは、力があるのにみんなと違うということでなかなか理解してもらえなかったり、悲しい思いをしている発達障害の子どもたちや、その子を育てているお母さんたちです。
そしてそこから地域の中で、みんなで子どもを育てていけるような社会を目指していきたいですね。

——石澤さん、ありがとうございました!
発達科学コミュニケーションを学びたい人、石澤さんに相談してみたい人はこちらをご覧くださいね。
石澤さんのブログ:https://ameblo.jp/nanahoshi-hiroba

発達科学コミュニケーショントレーナー 石澤かずこさん

発達科学コミュニケーショントレーナー
石澤かずこさん

東京都在住。2人の娘と夫との4人暮らし。
臨床心理士として教育委員会やスクールカウンセリングなどの仕事に携わり、今年の春に「発達科学コミュニケーショントレーナー」として起業し、活動中。
禅の世界が好きで、毎年初めに「今年の禅語」を決めている。2018年の禅語は「一期一会」。
ご縁があって出会う1人ひとりの方との出会いを大切にしていきたいという想いを胸に、トレーナーとして日々精力的に活動している。
石澤さんのブログ「発達でこぼこ相談室」:https://ameblo.jp/nanahoshi-hiroba

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